展示への寄稿1

2018年9月9日

 

田中友紀さんの展示が来週に迫ってきている。
思い返せば、今回の話を頂いたのが、もうおよそ二年前になるようだ。
 
その時は、AUTHORで個展をしたいという彼女の申し出を、一もなく、すっと受け入れた。
その頃には既に大切な友人であり、同時に尊敬する作家であった彼女からの願い。
それは光栄としか言いようがなく、なぜか平静を装いつつも内心は動揺し、輝く彼女の眼差しを言葉少なに見ていることしかできなかった憶えがある。
 
 
さて、月日は刻々と流れ、それぞれの仕事、生活にも様々な変化があった。
彼女は短い期間だが群馬に移住し、様々な土地での個展や、クラフトフェアーへの参加、たくさんの作家仲間との出逢いと切磋琢磨を繰り返し、
作家/田中友紀としての経験を積み重ねていった。
 
僕らは、まぁ、、のらりくらりと日々お店を続けていき、わからなかったことがわかるようになり、またここから先に考えていくべきことが定まっていった期間だったような気がする。
 
そんな間も、彼女は東海でのイベントや実家への帰省のタイミングで時間を見つけてはお店に遊びにきてくれて、
群馬での暮らしや、大好きな旅の中で出逢ったこと、感じたことを色々と報告してくれてた。
お互い返事がとってもゆっくりだが、手紙やメールでのやりとりもあり、土地は離れていても常にそれぞれの”今”を共有し合いながら過ごしていた。
 
 
そして今年の夏から彼女は新たな土地での生活と活動を始めた。
その少し前に群馬から一時実家に戻り過ごしていたが、その間にも彼女持ち前の”人運”は発揮され、素晴らしい出逢いに恵まれて、
その縁もあって、新たな拠点を岐阜県の土岐市に見つけるに至った。
 
その様子を比較的近くで見ていた僕らにも、彼女自身や共通の友人知人の人づてに、都度の状況は知らされていたが、
引っ越し作業に加え、日々の制作やアトリエに雑誌の取材が入ると聞き、こりゃ、片付けが間に合わんなと感じ、嫁を掃除要員として派遣して、
どうにかこうにか新たな生活がスタートした。
 
 
この頃になると9月の展示の事を、より具体的に考えていかなければならないなと、より密に連絡を取り合い、現状の想いとこれからの在り方を踏まえた展示のカタチを模索し合っていった。
 
 
そして、ここからは流れが急加速する。
シンクロニシティという言葉があるが、まさにそんなようなこと。
 
 
作品を産み出す作り手の見ている世界と、作品からそれらを受け取る私たちとを繋ぐ為の展示の実現。
 
 
その想いと方法が、一致していると、対話の中で気づいたのでした。
 
 
つづく。