昔からの物や行事などが失われていく世の中において
こと、季節を感じる事柄に関してはまだまだ多くの人が郷愁を感じ入るもので、生活の中にも脈々と息づいているんじゃないかと思います。
旬の味覚や、お祭、季節を過ごしやすくする為の道具や知恵
それらは風物詩とも呼ばれ、日々移ろいゆく季節にほんの少しの心地よさをもたらしてくれます。
昨年の夏、岐阜の多治見にある、とある陶芸家の工房を訪ねました。
ご存知の通り、古くから陶芸の町として有名な多治見。
毎年開催される陶芸まつりにはなんどか足を運んだことはあったのですが、
真夏の時期に訪れたのは初めてでした。(多治見は夏の暑さでも全国的に有名です。)
その日はお天気も快晴で、茹だるような暑さの中、古い街並みの
路地を抜けて氏の工房を目指しました。
そんな中、建ち並ぶ古民家の軒先のあちらこちらには陶器で作られた風鈴が下げられ、
“カランカラン””コロコロン”と涼やかな音を響かせていました。
硝子や金属の風鈴とは違った少し丸みのある柔らかな音色でした。
その風鈴をなびかせていた風は、まさに熱風といったところでしたが、
ただそれだけで、いくぶんか体感温度が下がったような心地だったのを今でも憶えています。
さて、その時に訪ねたのが陶芸家長屋有さんの工房で、AUTHORにて氏の生み出す
作品は手に取ってもらえます。
そんな長屋さんとその仲間が新たに立ち上げた”3rd ceramics”から、
新しいカタチの風鈴が届きました。
風を受け、カランコロンと小気味よい音色を響かせてくれます。
型はいくつか有り、それぞれで音の違いがあります。
好みの物をお選びください。
短冊の種類も二つあり、白が和紙で茶色が蠟引きのクラフト紙です。
いわゆる和ものの雰囲気ではなく、とてもモダンな佇まいで、
どんな空間にもスッと溶け込みます。
なにより、店主は音がお気に入りです。
あの暑い夏の日に聴いた涼しくも温かみがあるやさしい音色。
四季のある国だからこそ楽しめる風物詩。
もうそこまで来ている夏に一点の涼をもたらしてくれます。