TOKIHO exhibition – oficiala neoficiala –
2019.11.2sat – 11.10sun
デザイナー吉田季穂氏による衣服レーベル”TOKIHO”
2015年の秋に初めてTOKIHOから展示会インビテーションをいただいた時のことは今でも鮮明に憶えています。
ポストカード大の手漉き紙にブランド名と展示会場/日時、そしてなにやら抽象画のようなもの、ただそれだけが印刷されていました。
(後にその絵画はデザイナーご自身で描かれた油絵だと知りました。また今回のDMデザインで使用している写真も氏が撮影したものです)
この頃はお店を始めてからまだ一年が経過した位でしたが、それでもどこでお店の事を知り得るのか、シーズンになると様々なブランドさんから展示会の案内状がたくさん届きました。
大体は、展示会に並ぶコレクションサンプルや、もしくはこれまでに作ってきた衣服の写真などが載っていたりして、良く言えば分かりやすく、ちょっと悪く言えば、説明臭くて自信の無さの表れなのかな、なんて。そんな風に生粋のひねくれ者である私は感じたりしていました。(実は今でも思ってます)
その点TOKIHOからの案内状は、正直いえばブランドの具体的なクリエイションはまったく分からず、今思えば〇〇SSなどとシーズンコレクションを匂わす記載がなければ衣服のブランドかどうかも確信の持てないようなものでした。なんて大胆不敵。そしてこれも今思えばとてもトキホさんらしい趣向だと思えます。
ただ、そんな案内状からも滲み漏れ出すものがひしひしとありました。
その時はまだ、どんな衣服を作るブランドなのかまったく分かっていなかったのですが、この紙、このフォント、この間、この絵、この内容、それらひとつひとつから滲み出るそこはかとない不穏さ、これを招待状とする感覚を持った方が生み出すものを見てみたい、と素直に思えたので、すぐにお伺いさせていただく旨をお伝えしました。
結果はもう言わずもがな。
生み出す衣服はもちろんの事、佇まい、人柄、考え方、すべてが好きです。
そんな出逢いからお店で扱って、かれこれもう4年が経とうとしていますが、AUTHORに足繁く通っていただく方々でも、TOKIHOの服を直接見たことが無いという方が意外に多くいらっしゃいます。そしてそれは店主にとっても同様の感覚があって、TOKIHOの服はとにかく届いてから店頭に並んでいる時間が非常に短いのです。
また、届いてからweb掲載用に撮影をして編集している間や、むしろ撮影をする前に旅立ってしまうことも多いため、紹介さえもままならない事が多いんです。
存在を知っていても実物を見たことが無い、加えてトキホさん自身は決して表には出ず、SNSの類は一切やらないのでインターネット上のオフィシャルな情報も年に二回更新されるホームページのみである為、現代の世の中でいえば、一般の方にとって実像の掴みにくいブランドなのだと思います。
実はトキホさんとはちょくちょく電話で世間話をするのですが(毎回一時間くらい話し込みます)、その会話の中でも、”すごくたくさんの服を作りたいわけではない”、”家族や製作に携わってくれる職人さん達が困ることなく生きていけるくらいの量を長く作り続けていければいい”、”お店さんも無理なく売れるくらいをオーダーしてくれたらいい”、”ブレイクしたくない(ブレイクするようなやり方してないけど笑)”、”自分は生まれる時代を間違えたのかもしれない”等、自身がやられているブランドの現代においての存在性や、当人の生き方を滲ませるお話が出てきます。
今回の展示では、普段中々一同に介してご覧いただくことが難しい実際の衣服の数々だけではなく、そういったご本人の在り方も含めて、お越しいただける方々にご紹介できればと思っています。
さて、お気づきの方も多いと思いますが、ここまでこれだけ長くつらつらと書き連ねておいて、具体的にTOKIHOというブランドの事、その衣服はどんなもので、店主的に何がお勧めなのか、そういった説明を一切しておりませんし、実際の衣服の写真をただ一枚たりとも載せていません。
それはもうお店で実際に見てもらえれば、そのように思っております。
最後に、TOKIHOのオフィシャルサイト内にあるブランド=吉田季穂氏自身にとってのテーマを記したページのリンクをご紹介して締めくくりたいと思います。
→ THEME
AUTHORというお店を好いていていただいている皆様にとってきっと、ご期待に添えるものであると思っております。