包む

2019年6月25日

 
 
とある素敵な方がお買い物をしてくれた際に、程よく無造作に折り畳まれた紙からお札を出されて、それがすごく自然な雰囲気だったので、「いつもそうなんですか?」と聞くと、「今、気に入るお財布が無くて、それで、、」と、少し恥ずかしそうに。
 
 
でも、その方の持つ雰囲気の良さも相まって、包んだ紙からお札を出す所作から、その理由まで、潔くて、なんかかっこよくて、感動してしまい思わず、「その包んできた紙ください!」と変なお願いをしてしまいました。食い気味に。
 
 

 
 
 
不思議に思われながら、快く了承していただきましたが、
実際、貰った僕自身も深くは考えていませんでした、その時は。
衝動、としか言えない、そんな感じ。
 
 
手元に残された包み紙を眺めながら、野暮なことかもしれないけど、なんかこの感じをもうちょっと確かなものにしてみたいなぁと思い、じゃあ、どうしようと考えて、お店によく来てくれる手縫いで革ものを作っているNくん(基本お茶してだべりにくる。たまにお買い物)にイメージを伝えて、制作をお願いしました。
 
彼も大概、変な人なので、割にすんなりと感覚の共有ができて、ちょうどいい革があるので作ってみますと依頼を受けてくれました。
今回の事に限らず、店主の思い付き無茶ぶりに付き合ってくれる作り手が周りに割にて、ありがたいし、ありがとうございます。
 
 
しばらくして、彼が作ってきてくれたものは、いい具合にペラっとして、枯れた革肌のものでした。
すごい、結構イメージ通りで、めずらしく素直に彼を称賛しましまた。
 
 

 

 

 

 

 

 

 

 
 
 
 
ふたりで、雰囲気はなかなかいいんじゃない?、悪くないよなぁ、なんて話ながら、でも、これって実際どうなん?使えるんかな?てか欲しい人なんているのか?って、作った本人たちですら、はじめて見るそれに疑問を持ちました。
まぁ、とりあえず使ってみようとなり、その日もお茶をしてひとまず解散。
 
 
 
さて、ここからは使ってみての個人的な感想文。
 
結果、僕はすごく重宝しています。
 
 
これには数枚のお札と、クレジットカードやキャッシュカードなどで最も広く使われているカードサイズの国際規格”ID-1″のカードが最大で2枚入ります。
なので、これは最低限のものしか持ち運べない、お財布未満の存在です。
 
 

 

 
 
 
でも、最小限必要なものしか持ち運べないということは、最小限のものしか持ち運ばなくてもいいという自由さを生み出します。
 
 
話が少し逸れますが、僕はお休みの日に、出来るだけ荷物を持ちたくありません。なんなら財布さえも。
ポケットにお財布を入れているとなんとなく腰が重くて疲れてしまうし、パンツに財布の形にアタリが出てしまうのも好きではありません。
例えばお休みの日に飲みの約束があって、着の身着のままにふらふらと出歩く時にはお金と携帯と交通機関を使うならマナカがあればそれで十分。
 
でも、それぞれをポケットに突っ込んでというのは、なんか嫌で、クシャっとしたお札を出すのは品が無いと感じますし、カードを生身というのもちょっと不安。
マネークリップも同様の理由で違うなと感じるし、じゃあカードケースやパスケースにお札を入れればいいじゃんとなりそうですが、それもなんか色気がないなぁって。
個人的にお札は折っても二つ折りっていうのが大人のマナーと思っています。
 
あれもこれもいやだいやだで、めんどくさい奴だなぁと感じるかもしれませんが、望んでいるのはほんのちょっとのこと。
お札とカードだけを品よくさっぱりと持ち運びたいということだけなんです。
 
あ、これ書いてて気づいたんですが、結局あの包み紙とそれを持っていたあの方に感じた感動は、この答えに繋がっていたからなのかなって思いました。
 
あの無理をしない気張らなさに自由を感じ、僕が不自由に思っていたことを解決する為の種となってくれたんだなって今は感じます。
なんか大袈裟な話になってきましたが、きっとそんな感じ。
 
 

 
 
 
あと、包むということが奥ゆかしく、品を感じるというか、どこか日本的なものだなぁと。
例えば、風呂敷や数寄屋袋、袱紗など、日本では昔から包むという行為が生活の中に息づいています。
包んで、大事に持ち運ぶ、それを解いて手渡す所作がいいなぁと感じるのです。
 
これも使ってみるとそれを感じます。
 
最後に、もうひとつ利点を。とにかく薄い、むしろそれも機能な気がします。
薄いのでパンツのサイドポケットに入れておいても全く形が影響しなくて、アタリとか異物感を気にせずに、ずっと入れていられる。そうすると無くさないんです、僕は。
小さくて薄いと無くしそうと感じるかもしれませんが、ポケットの隙間にフィットしたものは早々落ちませんし、例えばごはん屋さんにいったりした時にわざわざ机の上に出す必要もないので、忘れないんです、僕は。(携帯と財布は机の上に出すので結構な頻度で忘れます。たまにバッグも忘れます、僕は。)一番リアルな恩恵かもしれない、僕にとっては。
 
 
 
ちなみに、制作したNくん自身はけっこうすぐに無くしました。
 
人それぞれですね。
 
 
 
でも、店主の僕があるといいなと使ってみて感じたのでお店で販売することにしました。
 
呼び方をどうしようと考えて、僕は最初、お財布ならぬお包みって呼んでて、NくんはSAPPOU(サッポウ)と呼んでたので、合わせて二で割って”札包”としました。
本人は無くしたけど。
 
日本
颯爽
葛藤
殺法
抜刀
 
札包
 
うん、切れの良い語感でいいですね。
 
 
 
さて、ここまで書いて、おそらく出てくる意見。
小銭はどうするの?
 
 
そこまで考えていません。出来るだけ使い切ります。
 
 
気になった方は試してみてください。
 
 

※navyは売り切れました。注文できます。