驚きを売る

2016年2月29日

本当に美味しい料理を食べたとき、人は言葉にならない驚きの声をあげるらしいです。
 
料理に限らず、色々な出来事との出逢いもまた同じなのでしょう。
 
 
今期で取り扱い2シーズン目の「山内」もそんな驚きを与えてくれる存在です。
 

 

 

 
 
お店にさらっと、あくまでさらっと並べられた山内の服。
 
基本、お店に遊びにきてくれた方々にはまず好き好きに店内を物色してもらいます。
そんな中、ある人は何やら険しい表情で凝視し、ある人は「う~ん」となにやら唸り声をあげています。
その姿をみて、うっそりと立ち上がる店主。
そっと忍び寄り、そして一言。
 
「すごいでしょ?」
 
まったくボキャブラリーの無い使えない店主であります。
いやいや、それで十分なんです。
 
そこからは、「なんなんですかこれは!?」とただただ驚きの声があがるのです。
店主もそう聞かれれば、デザイナーさんご本人からご享受いただいり、資料で復習したアイテムのコンセプトや技法を切々と語るのですが正直、芯まで理解できるレベルではありません。
 
うちみたいなお店にわざわざ来てくれる方々はみなさん、いろいろな物や服を見て、着てきた方々が多く、同じような業種や、メーカーさんみたいな方々も多いです。そんな方々なんかは、たぶん僕より、よりリアルにその手法の途方もなさが想像できる為、話していくうちにさらに2度驚きます。
 
改めて「すごいでしょ?」という言葉がもっとも端的ながら適切で、見た人の驚きというリアクションが正しい反応なんだと思います。
 
比類なき品質
山内しかできないこと、やらないこと。
 
その中でも、今期個人的にもっとも感嘆の声をあげたものがこちらです。
 

 
名古屋は有松地区に江戸時代より伝わる有松絞りにより表現された迷彩のジャケットです。
 
その歴史や詳細な技法はここでは割愛しますが、ハコムラ絞りという技法を用いています。
 

 

 
ただただその発想と実現力に驚きです。
もちろん染めだけではなく、生地、縫製、パターン、すべてが一等品です。
 
この驚き、できればまずは驚きのまま持ち帰っていただきたいです。
 
比べるものなんかありません。お店ですぐに理解できるものでもありません。
 
その驚きの心があれば、着ていけばおのずと腑に落ちると思いますから。