生地を、鋏を使わず手で裂き、幾重にも重ねて補強の為のステッチを奔らす。
荷重のかかる持ち手や底にはまるで叩き補修のように夥しいほどの仕事の跡。
単純作業の繰り返しとその積み重ねながら、その手間と根気を考えると思わず感嘆のため息が漏れます。
これを定番としているMITTANのレイヤードバッグシリーズ。
バッグと一言にいっても、いわゆる通常の「鞄」とはすこし成り立ちの違いが見てとれると思います。
古くをたどれば襤褸や諸国のキルト文化、果ては糞掃衣にまで通づる布の利用法。
織物が貴重だった地域や時代に、使い古し破れ、擦り切れた布を手縫いで重ね繕い合わせて使い繋いでいく精神性を思い起こさせてくれます。
もちろんこちらは新布を使用していますが、ここからまた使い込み、補修や染め直しを経て、ただ一つのものとして付き合ってもらえたら幸いです。
→ “accessories”