実は今季、MITTANにAUHTORとして別注品をお願いしていたんです。
それがお店に届きました。
これまでもMITTANの三谷さんには色々とわがままを聞いていただいていて、一周年でのバッグの別注制作(今思い返すとかなり貴重、、)、残布でのランチョンマットのサイズオーダーなど、、いつもありがとうございます。
さて、そのように別注と一言でいっても様々なカタチや方法があります。
今回ははじめての衣服での依頼。
まずもって、その在り方は何でもいいというわけでは、もちろんありません。
前提として、その企画が、お願いをされるブランド側にとって引き受けるべきことなのか。
打ち合わせや制作の時間を割き、貴重な素材を使用し、最終的にその製品にブランドのタグを付けるに値するかはとても重要なことなのです。
ブランドの名を冠すること。そこには作り手側にも責任が生まれます。
掲げるブランドコンセプトの本流から外れないこと。現実的に長く着用していくのに申し分ない物質的、デザイン的な品質。制作において予想されるリスクをクリアーできるか。
そういった様々な観点を踏まえた上で、依頼する側としてもその企画に投影したい想いや、具体的なデザイン案を投げかけていきます。
今回の別注の話は、11月にAUTHORにて開催するMITTAN展においてのひとつの目玉としてあがりました。
今企画展内容、そして日ごろからMITTANの衣服や制作のプロセスからわたし自身が感じて学んでいることや、手に取るお客様に伝えていきたいこと、そういった様々な面をひとつのカタチとして具現化していく作業でした。
“現代の民族服”というメインコンセプトを軸に、使用する生地の選定から始まり、別注依頼をするにあたってのコンセプトや具体的なデザインイメージからベースとなる型決め、別注に値する細かいデザイン、パターン仕様、色展開やサイズ展開に伴う生産数の決定に至るまで、メールや電話での打ち合わせやサンプルを制作していたただいてのやり取りなど、服屋という領分では中々関わらない事柄まで経験させていただきました。
先に記したように、まず使用する生地から選びました。
糸づくりから織り、染色に至るまで手仕事が存分に感じられるものを、そしてこの日本において年中着れて、洗濯を繰り返す中で人の身体により馴染んでいくものをと、ラオスの村にて手紡ぎ手織りされる木綿の生地を使用しました。
型は通常ラインで展開しているロングシャツをベースに、アジア民族服を象徴する懸け衣の着用作法をデザインから感じさせるように前合わせのおくみを片方だけ多くとった非対称な形でお願いしました。
サイズの展開は1、2、3とありますが、もともとたっぷりとした生地使いなので通常のサイズ感覚や、性差、個人の体型の差から解き放たれた衣服であり、布を纏うという感覚に近いかもしれません。付属する腰紐を使い、着る人の身体のラインに合わせて自由に形作ってください。
通常のロングシャツの型番SH-16の末尾にAUHTORによるパターンや色の別注を示す”AT”が記されます。
お色は二種類。
ソメモノイモ×生成と、藍×タイコクタン×イモです。
結局何をつくったのか?
それは詰まるところ”現代の民族服”であり、その成り立ちを端的に感じさせるもの、人と衣服の関係性、伝えて続いて残していって欲しい技術や文化そのものなんだと思います。それがそのまま、この後の企画展のテーマとなります。
本来は11月23日から始まる展示の際にお見せする予定でしたが、制作が早めに終えれたこと、季節的にも今がちょうどいいということで、企画展に向けての先行プレイベント的なものとして、数量限定で分納させていただきました。
とてもいい服を作っていただきました。沢山は用意できませんでしたが、是非お召しになって感じてもらえたら嬉しいです。