補修承ります・・・その3

2019年5月6日

 

 
“その2”からのつづきです。
 
 
 
さて、これまであった補修依頼内容と実際の補修事例をご案内します。
 
まずは補修依頼の内容を、上からご相談の多い順に列記します。
 
・日焼けによる退色、変色
・摩耗による穴開き、生地のほつれ
・汚れ(食べ物汚れ、インク、カラー剤、等々)
・ブリーチ剤による脱色
・糸切れによる縫い外れ
・腰紐の摩耗切れ
 
ざっくりいうとこのような内容です。
さらに細かく、例えば生地のほつれなどは、おしり、股下、袖口、ポケット口、裾、衿ぐり等、様々な部位があります。
わたしは左足を上に膝を組むことが多いので、右ひざがよく擦れて生地が薄くなります。
長く着ていただくことで、起こるトラブルなのでそれぞれに着用者ごとのダメージの個性があって面白いです。
美容師さんなんかは、様々な薬剤での変色が日常的なので、MITTANのリペアサービスをとても喜んでいただけます。なので結果的にMITTANファンが多いです。
 
そして、実際の補修事例です。
 
・染め直し
・裏地当て布+ミシンステッチによる補強、穴塞ぎ
・ダーニングによる繕い
・腰紐の交換
・バイオウォッシュによる繊維毛羽立ちの除去
 
補修事例はこのような感じです。
ほとんどが染め直しと補強で解決します。
 
染め直しは、一番多いのが黒染めです。汚れも日焼けも基本的には、このご依頼が多いです。
ただ、黒で濃く染める一辺倒なだけではなく、日焼けの場合は元々の色で染め重ねたり、まったく別の色で染めての解決方法もあります。
黒の上から藍で染め重ねたり、胡桃やベンガラなどの天然染色で、変色自体をうまく利用して別の魅力を引き出すことも状態によっては可能です。
 
染め直すことで、次からの日焼けや退色がゆっくりになる二次利点もあります。
一度、染め直しのご依頼を頂いた方からのリピートは高く、満足度の高さが伺えます。
 
事例1:墨黒の日焼けの上から胡桃染め(※1:カディシャツ/※2:綿高密度シャツ)

※1

※2
 
事例2:黒の日焼けの上から藍染め(※3:ロングジャケット)

※3-1
 

※3-2
 
 
補強も様々な部位と、方法があります。
基本的には補強方法はブランド側にお任せとなりますが、実際の服や生地の状態、部位によって、もっとも適切で使用に問題の出ない補強方法を選択してくれます。
また、その直し方やステッチの入れ方が素晴らしいのです。古今東西の古着や古布の直しを知り尽くしているMITTANならではの業が光ります。
 

 

 

 

 

 

 

 
 
珍しい事例では、カット地の生地表面が毛羽立ち、白っぽく色抜けをしてしまった状態に、バイオウォッシュをかけ、毛羽を除去して発色を復活させる方法もありました。
ちなみに、これは嫁のです。期間中着ていると思うので見てやってください。

 
 
このようにトラブルの種類と補修方法は様々なものがあります。
出来るだけ、その一枚一枚に向き合って最適な補修をおこなうことを心掛けます。
きっと喜んでいただけると思います。
 
 
 
最後に大事なこと。
補修依頼に関するマナーと注意点です。
 
 
 
まず第一に補修のご依頼をお受けする衣服の状態について。
 
新品や、それに準じるそれほど状態の悪くないものの、染め直しはご遠慮いただきます。
その為、軽度の変色や、日焼けに関して、こちらの判断により一旦お断りさせていただくこともございます。
 
その理由に関して、まず、原則的に生地を染めるという行為は少なからず、生地にダメージを与えるということだからです。
 
布を染めるという工程では、酸性またはアルカリ性の、物質を溶かす性質のある液体に一定時間漬け込むという作業になります。
それは天然染料、化学染料、顔料、とそれぞれで差はあれど、同じこと。
衣服を長持ちさせるという前提の元、おこなう補修ですので、不必要な染め直しは極力さけるということが大前提となります。
 
ただ色が気に入らない、着てみたら似合わない気がする、飽きたから気分を変えたい、出来るだけ新品みたいな状態がいい、などの理由ではお受けできないことをご了承ください。
 
その点で、ブランド側も、お店側も、衣服愛第一主義であることは共通の想いです。
 
 
そして補修費用や期間に関して。
 
実際の衣服の状態や補修方法に応じて、費用や仕上がりの期間は変動します。
 
まず費用に関しては、これまでの事例から考えると、正直クオリティに反比例してとてもやさしいお値段だと感じています。そこがお客様からの満足度が高い理由の一つだと思います。
染め直しに関しては化学染料か天然染料かで変化しますが、これまでの事例でいくと¥2000~¥4000の間が平均的なところです。
ほつれの補強も数や大きさで多少変化しますが、¥1000~¥2000前後が平均的な価格となります。
ただ、実際は補修をおこなって初めて実費が出ますので、基本お代は受け取りの際となります。
 
 
仕上がりの期間に関しても依頼内容で変化します。
例えば染め直しに関しては、基本ブランドの本生産の時期に準じる為、染色方法で時期に差が出ます。
ご依頼をお受けする際に、出来るだけ今後の予定を鑑みてお伝えしますが、ある程度の期間いただくことをご了承いただけましたら幸いです。
 
 
 
いやぁ~、、長くなりました。文字多すぎです。
読んでいただくの大変でしたね。ありがとうございます。
 
 
ところどころ難しいことも書きましたが、実際はそこまで難しく考えることはありません。
気軽に相談してみてください。しっかりと親切丁寧にご案内することを心掛けます。
 
 
企画展時には、店主のじっくり着込んだ補修済みの私物を展示したり着たりしています。また、一部お客様からお借りしたものも。
ほうほう、3、4年着込むとこうなるのかぁ~補修するとこうなるのかぁ~、とご参考にしてみてください。
 
一度でも補修をお願いすると、帰ってきた時の感動で、またお願いしたくなりますよ。
それが衣服を大切に永く着続けていくことに繋がれば私たちはとても幸せです。
 
 

 

 
 
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